2015年8月

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クリエイティブな仕事は人工知能に奪われる!? 2045年問題の行方
◆ディープラーニングによって人工知能がめざましく進化

――GoogleやFacebookが人工知能関連企業を相次いで買収するなど、人工知能が脚光を集めています。昨今の研究で何が起こっているんでしょうか?

人間が「人のような知能を持つ機械を作りたい」という願望が人工知能研究の根底にあります。主役は、膨大な神経細胞(ニューロン)の塊である脳。そして、さまざまな人工知能技術のひとつに、この神経細胞の仕組みを真似たニューラルネットワークの研究があり、長く続けられています。そこに最近、ディープラーニングというアイデアが出てきました。これを突破口として、本当に人の脳を凌駕する人工知能が実現するんじゃないかと。

’12年に人工知能の大会で、いきなりディープラーニングを活用したコンピュータが、他を圧倒して優勝したんです。

――人工知能が人間の能力を超える(シンギュラリティ)は、2045年とも言われています。どう考えますか?

今でも用途を限定すれば、人工知能は人の能力を超えています。例えばスマホでの音声対話や検索、ニュースアプリや乗り換え案内など、我々の日常生活のさまざまな場面で、すでに人工知能は利用され始めています。ただし、さらに汎用性を高め、身体性を持ったターミネーターやチャッピーのような人工知能については、いつになるかわかりません。

◆クリエイティブな仕事が人工知能に奪われる!?

――人工知能には、期待と脅威という相反する感情が高まっています。ターミネーターのような人工知能搭載ロボットと人類が対峙することはありえるのでしょうか?

栗原:今の人工知能には自我がありません。「生きたい」とか「種を残したい」という生物の根源的な目的ですね。もし人の脳全体の仕組みが解明されれば、人工知能にもそうした自我を持たせられるのかも。そうなると、ターミネーターやチャッピーのような話が現実味を帯びてくる。

確かにホーキング博士やビル・ゲイツが危惧するのもわからなくはない。でも、自我が搭載されないなら、いくら人工知能が進化しても、人が負けるわけがない。

あと忘れてはいけないのが、数十年かけて進化するのは人工知能だけじゃなく、人も同じ。人工知能が進化したとしても、きっと上手に適応できるはずです。