2018年8月

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自動車大手7社の2018年4~6月期決算が6日出そろった。中国などアジア市場が好調で4社が増収増益となった。しかし、商品市況の上昇やトランプ米政権が発動した高関税措置で、原材料の鉄鋼価格などが上がり、利益を圧迫している。

 トヨタ自動車は純利益が過去最高だったが、19年3月期の通期では減益とする予想を据え置いた。4~6月期は原材料費の上昇が約500億円の減益要因となり、コスト削減による650億円の増益効果の多くがなくなった。「原油、アルミ、鋼材が上がっており、(1年を通して)2千億円ぐらい原材料費が増える」(白柳正義専務役員)という。市況上昇に加え、米国の高関税も「そういう要素も入っている」(同)としている。

 日産自動車は4~6月期で270億円の原材料費の上昇の影響があった。年間では800億円の利益を押し下げる見込みで、「(減益の影響が)さらに上回るリスクがある」(田川丈二常務執行役員)という。

 日産とともに減収減益だったスバルは、前年の新車効果が一巡したため、販売台数が12・3%と大きく減少。燃費検査データなど一連の不正も「国内販売では感覚的に5%減ほどの影響だった」(岡田稔明取締役専務執行役員)という。

 今後は、米国が検討する輸入車への高関税措置の悪影響がさらに懸念される。トヨタが日本から米国への輸出分だけで年間4600億円ほどの影響が出るとの見通しを示すなど、各社の負担は原材料高騰の比ではない。各社は水面下で、関税の引き上げ割合や発動時期などさまざまな想定に沿った対応策の検討を始めている